前回の企業分析で「東祥」の売上高や利益率をチェックした。
フィットネス業界つながりとして、今回はフィットネスクラブ「ルネサンス」を運営している「株式会社ルネサンス」の売上高や利益率がどうなっているかをチェックしたいと思う。
ルネサンスとは?何をしている会社?
ルネサンスはフィットネスクラブ「ルネサンス」やデイサービス施設である「元氣ジム」などを運営する一部上場企業の会社。
フィットネスクラブは筋トレのマシンやヨガやエアロビなどが受けられるレッスンなどを提供するスポーツ施設のこと。
ではデイサービスって何かというと、要介護の方をデイサービスセンターのスタッフが家まで迎えに来てデイサービスセンターに送迎し、レクリエーションを行ったり、入浴や食事をして1日を過ごし、家まで送ってくれるサービスだ。
在宅介護と違って、デイサービスセンターに通うから通所介護と呼ばれたりする。
株式会社ルネサンスは、1979年に日本インキ化学工業(株)(現DIC(株))の社内ベンチャーとして始まり、テニススクールの運営が最初だったそうだ。
そこからフィットネスクラブの運営に乗り出して、現在(2020年3月時点)でフィットネスクラブを141店舗(スタジオ業態や業務受託店含む)、リハビリ施設を31店舗の合計172店舗を運営している。
2020年3月期の売上高は約450億円でフィットネス業界で第3位だ。
ちなみに1位はコナミHD、2位はセントラルスポーツ株式会社。
売上高の推移は?
フィットネス業界3位のルネサンスはこの数年で成長しているのか?
下記図を見て欲しい。
売上高は2015年~2018年までは順調に成長しているように見えるが、2018年の約460億円を境にダウントレンドで2020年3月期(2019年4月~2020年3月分)は450億円となっている。
2020年3月期は新型コロナウィルスによる影響も入っているので、もしかしたら470億円ぐらいの売上高になっていたかもしれないが、、、
東祥が2015年3月期~2020年3月期で売上高が2倍に成長しているのに対し、ルネサンスの成長速度は遅い、というか伸び悩んでいる印象だ。
営業利益と営業利益率の推移は?
次に営業利益と営業利益率の推移を見ていこう!
営業利益も売上高の推移と同じように2015年~2018年までは増加傾向だったが、それ以降は減少傾向だ。
2020年3月期の営業利益は約33億円だ。
ん?ホリデイスポーツクラブを運営する「東祥」の売上高は2020年3月期で344億円(ホテル事業・不動産事業含む)だけど、営業利益は約97億円だ!
営業利益の額だけで見るとルネサンスより東祥の方が約3倍稼いでいることになる!
売上高ではフィットネス業界で3位のルネサンスだけど、営業利益の額で見ると東祥の圧勝ということがわかる。
ということはこの差は本業の利益率である営業利益率だろう。
ルネサンスの営業利益率は2020年で7.3%だ。
この営業利益率も売上高と似たような推移で2018年がピークとなっている。
東祥は営業利益率が平均で25%を超えているから、売上高がルネサンスより少ないのに、営業利益では約3倍の額を稼ぎ出しているのだ(2020年3月期)。
ただルネサンスも2014年以前は営業利益率3%とかだったから、利益率は2倍程度には改善している。
ルネサンスの今後の業績は?
ルネサンスの今後の業績だが、新型コロナウィルスの影響でフィットネス業界は大打撃を受けている。
ルネサンスもめちゃくちゃ影響を受けているだろう。
20年4月~7月の間で自己株式を処分したり、銀行から数十億円の融資を受けて手元資金を増やしていることから、2021年3月期の第1四半期は間違いなく赤字だろう。
しかも相当な赤字額だとビジネス小僧は予想する。
長い目で見れば、ルネサンスの強みであるヘルスケア事業、特に少子高齢化が進む日本ではデイサービスである「元氣ジム」の需要は増えていくと思われる。
しかし、4~5月が緊急事態宣言で休業して丸2ヶ月売り上げが無いことを考えると、今期2021年3月期はほぼ間違いなく赤字に転落すると思われる。
あとは
- 新型コロナウィルスがいつ収束するか?
- 収束した後、フィットネスクラブへの需要が急回復するか?
- その需要を競合に負けずにルネサンスがいかに取り込めるか?
が勝負だろう。